2009年5月25日月曜日

新型インフルエンザ診療アルゴリズム


従来の日本の新型インフルエンザ診断アルゴリズムは、
1) a)38℃以上の発熱、または、b)急性呼吸器症状
かつ
2) c)確定例との濃厚接触、または、d)蔓延国滞在歴
上記 1) 2)を満たす場合、発熱外来のある医療機関で、
迅速診断キットによる検査を行うことになっています。

患者発生の拡大に伴って厚労省は定義を変更しました。
2)のc)d)に加え、e)周囲にインフル様症状の人がいる
という項目が新たに迅速キットの対象に加わりました。
医師の裁量の部分が大幅に拡大され丸投げの格好です。

b)の「急性呼吸器症状」とは以下の如く定義されます。
1)鼻汁/鼻閉,2)咽頭痛,3),4)発熱/熱感/悪寒
の4項目中、少なくとも2つ以上の症状を呈した場合。
というわけで、これはもう風邪みたいなのは全部です。
逆に2)については空港での接触は考慮されてませんし、
確定例と濃厚接触していたかが分かるとは限りません。
電車の中で伝染ったのは検査の対象にならないのです。
つまり1)は間口がく、2)は隙間だらけということです。

その上、暫定報告では迅速検査でのA型陽性は53.5%
約半数は症状があっても検査に掛からずすり抜けます。
今回の八王子の高校生はまさにそういうケースでした。
何より気に掛かるのは国内感染を想定してない点です。
国内で知らぬ間に感染していた場合は対象にならない。

暫定報告では90%に38℃超の発熱があるとされますが、
そもそもが38℃以上の人中心に検査をしているのなら、
もし37℃程度の軽微な症例があっても検査に上らない。
すり抜けも多く対象にならないことも考慮するならば、
把握できる範囲は狭く全例を捕捉することは無理です。

診療アルゴリズムの構造上、捕捉が無理なのであれば、
多くの物量を投入した水際作戦は何だったのでしょう。
で、私が気になるのは「いつまでこの体制でやるのか」
蔓延すればPCR遺伝子検査はおっつかないでしょう。
迅速検査でA陽性が出れば新型とみなすのでしょうか。
そうなれば症状レベルでは季節性インフルと変わらず、
検査上もA陽性で変わらないのなら区別がつきません
区別がつかないのなら対処を変える意味はありません。

かくして世の中には、旧来の保守的な「A香港型」と、
野心的な新型「Aアメ型」が混在することになります。
人間界で揉まれ適度に環境適応し共存するA香港型と、
人間界に登場し変化適応中の新型インフルAアメ型と。
鉄は熱いうちに打てと言いますが、新顔のAアメ型も、
変化適応中の成長著しい時期にタミフルの洗礼を浴び、
人間界という環境でも生き抜く強い子に育つでしょう。

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