2009年4月29日水曜日

昭和天皇御製

大正十一年
世のなかもかくあらまほしきおだやかに 朝日にほへる大海の原
大正十五年(大正天皇崩御・昭和天皇即位)
広き野をながれゆけども最上川 海に入るまでにごらざりけり
昭和三年(即位の大礼)
山山の色はあらたにみゆれども わがまつりごといかにかあるらむ
昭和五年
磯崎にたゆまずよするあら波を しのぐいはほの力をぞおもふ
昭和六年(満州事変)
ふる雪にこころきよめて安らけき 世をこそいのれ神のひろまへ
昭和八年
あめつちの神にぞいのる朝なぎの 海のごとくに波たたぬ世を
昭和十二年(支那事変)
みゆきふる畑の麦生におりたちて いそしむ民をおもひこそやれ
昭和十三年
静かなる神のみそのの朝ぼらけ 世のありさまもかかれとぞ思ふ
昭和十五年
西ひがしむつみかはして栄ゆかむ 世をこそ祈れとしのはじめに
昭和十六年(対米宣戦布告)
あけがたの寒きはまべに年おいし あまも運べり網のえものを
昭和十七年
峰つづきおほふむら雲ふく風の はやくはらへとただいのるなり
昭和十八年
ゆたかなるみのりつづけと田人らも 神にいのらむ年をむかへて
昭和十九年
つはものは舟にとりでにをろがまむ 大海の原に日はのぼるなり
昭和二十年
風さむき霜夜の月に世をいのる ひろまへきよく梅かをるなり
戦のわざはひうけし国民を おもふこころにいでたちてきぬ
わざはひをわすれてわれを出むかふる 民の心をうれしとぞ思ふ
海の外の陸に小島にのこる民の うへ安かれとただいのるなり
爆撃に倒れゆく民の上をおもひ いくさとめけり身はいかならむとも
国がらをただまもらんといばら道 すすみゆくともいくさとめけり
夕ぐれのさびしき庭に草をうゑて うれしとぞおもふ母のめぐみを
昭和二十一年
ふりつもるみ雪にたへていろかへぬ 松ぞををしき人もかくあれ
国をおこすもとゐとみえてなりはひに いそしむ民の姿たのもし
昭和二十二年
たのもしく夜はあけそめぬ水戸の町 うつ槌の音も高くきこえて
ああ広島平和の鐘も鳴りはじめ たちなほる見えてうれしかりけり
霜ふりて月の光も寒き夜は いぶせき家にすむ人をおもふ
月かげはひろくさやけし雲はれし 秋の今宵のうなばらの上に
昭和三十九年(東京オリンピック)
この度のオリンピックにわれはただ ことなきをしも祈らむとする
昭和六十三年
みわたせば春の夜の海うつくしく いかつり舟のひかりかがやく
夏たけて堀のはちすの花みつつ ほとけのをしへおもふ朝かな
やすらけき世を祈りしもいまだならず くやしくもあるかきざしみゆれど
(治療にあたった医師への歌)
くすしらの進みしわざにわれの身は おちつきにけりいたつきを思ふ
昭和六十四年(崩御)
(歌会始のためにご準備された御製)
空晴れてふりさけみれば那須岳は さやけくそびゆ高原のうへ

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