2009年4月20日月曜日

もしも私が家を建てたなら 2 (2007/09/08)


エネルギー消費の少ない家

 これからのエネルギー事情を考えた時、もしも私が家を建てるのなら、エネルギー消費の少ない家を建てたいと思うということをお話ししました。家は長年にわたって住むものであり、建物自体はさらにもっと長持ちする(長持ちさせるべき)ものです。ですから長期的なスパンで将来を考えて建てるべきでしょう。私は今後のエネルギー事情を楽観していないので、全体のエネルギー需要を減らすことでエネルギー安全保障上のリスクをできるだけ減らすことや、個人の生活防衛上のリスクを少しでも減らす意味で、エネルギー消費の少ない家が良かろうと思っています。
 では、エネルギー消費を少なくするために、どのような工夫が役立ちそうでしょうか。その当たりを考えてみたいと思います。

1.エネルギーサイズの小さい家

 まず、そもそもエネルギーをそれほど使わなくてもすむ家、エネルギー需要の少ない家ならエネルギーの消費が少なくてすみます。エネルギーの需要が少なくてすむ家を考えた場合、家のサイズの問題も考えなければなりません。大きなおうちはあこがれですが、そのサイズの熱のコントロールをするためにはそこに費やすエネルギーも大きくなります。それに、そのサイズの家を建てるために使われる木材、コンクリート、鉄、アルミ、ガラスなどの建材等にもエネルギーが投入されているわけなので(素材作りのために投入されるエネルギー量は産業用エネルギーの中でも非常に大きい)、使用される建材が少ないほど、消費者個人の面からも全体のエネルギー消費の面からも重要になります。そんなことをいうと、生産が落ちれば景気が悪くなるじゃないかとお叱りをうけるかもしれませんが、そもそも有限資源を消費して生産しているわけですし、今後否応なく石油枯渇の問題が差し迫れば、大量生産が景気を牽引するという図式こそ見直さざるを得ないのではないでしょうか。というわけで、エネルギー消費の少ない家を指向するのなら、不自由しない範囲でできるだけ小さな家が望ましいといえます。
 電気などによって達成していた部分を、設計そのものによってそれを達成する工夫も重要です。日中なのに照明を必要とするような造りよりは、高窓・天窓などを利用して十分に明るい家にするとか、ファンを回して空気を移動させるより、風の通り道を考えた設計にする、といったことです。エネルギー需要を少なくするためには、まず基本となる駆体の規模と設計が大事ですし、そこでエネルギー消費の大枠が決まってくると言えましょう。

2.エネルギー損失の少ない家

 エネルギーを投入してもそれが無駄になっているようなら、効果を得るためにはより多くのエネルギーを必要とすることになります。それではエネルギーがもったいない。エネルギー損失の少ない家、エネルギー効率の良い家が望ましいですね。ここがしっかりしていると、他のいろんな工夫がより有効に機能することにもなります。
 まず、熱のコントロールから考えてみましょう。家を建てるにあたって、防災防犯といった安全とともに、暑さ寒さをいかにしのぐかということはとても重要な要素です。こう申し上げますと、断熱のことが思い浮かびますが、その前に家の形状があります。
 外気温と室内温との熱の交換はその境界面でなされます。室内温を外気温に近づけようとするならば通気することが手っ取り早いので、開口部が大きく空気の循環の良い造りが有効です。一方、外気温に抗って室内温を維持しようとするならば、室内の空気の体積に比して表面積を小さくする工夫が必要になります。つまり凸凹の少ない、立方体に近い建物のほうが有利ということになります。さらに突き詰めていきますと、球体が最も有利となります。これは、竪穴式住居、モンゴルのゲル、ネイティヴアメリカンのテント「ティピー」、イヌイットの氷の家などに近いと言えます。しかし、球体の家といえば、バックミンスター・フラー博士のジオデシック・ドームが有名でしょう。アメリカなどではこのドームハウスを自作する人も少ないないとかで、日本でもドームハウスの建築を請け負ったり、キット販売する会社があります。これは体積に比して表面積が最小となることから、熱の移動が小さいという利点があるだけでなく、三角構造のトラスで構成されている球体ということで強度にも優れており、また気象観測用のドームにも使用されるように強風にも強く、内部の対流も良い。内部に梁や柱を必要としないことから大きな空間が得られるなど長所も多いものです。難点といえば、フラットな壁面が少ないため家具の配置に工夫が必要だという点と、なにより周囲の景観から浮くということでしょう。オーナーはご近所から変わり者と見られることは避けられないかも。
 そして、熱のコントロールといえば断熱をよくすることが上げられます。断熱が優れていれば熱の損失が少なく、エネルギー消費を抑えるのに有利に働きます。断熱は主に熱伝導をいかに小さくするかという工夫がなされており、熱伝導率の小さい空気をいかにふんだんに蓄えられるか。そしてその厚さをいかに十分取るかということが求められます。断熱素材としてよく使われるのはグラスウールと呼ばれるガラス繊維、石油科学系のウレタンなどですが、自然素材の断熱材の様々提案されており、羊毛、木質繊維、炭化コルクなどいろいろあります。収穫後の麦藁をブロック状に圧縮して束ねた、ストローベイルという藁ブロックを積み重ねて断熱兼構造体にしてしまうストローベイルハウスなんていうものもあります。また、壁や屋根を二重構造にして熱伝導を妨げ断熱性能を上げる住宅も数多く提案されています。壁断熱だけでなく扉や窓などの開口部断熱も重要ですね。開口部断熱なら二重サッシ・三重サッシが普及しています。サッシの素材については、熱伝導の高い金属サッシより熱伝導の低い木製サッシや樹脂サッシが有効です。後付でもできるものとしては、断熱用ハニカムスクリーンなんてものも有効でしょう。
 熱の伝わり方を考えると、熱伝導をいかに小さくするかというだけでなく、熱の放射(熱輻射)を抑えるというアプローチも考えられますね。熱反射塗料を屋根や外壁に塗れば、夏の日差しを跳ね返して駆体が暖まることを妨げますし、内壁や天井に塗れば、冬場の室内の熱源からの輻射熱を跳ね返して室内の人や物を効率よく暖めることに役立ちます。

 エネルギー損失を少なくするというためには、エネルギー変換効率がよいことも重要です。照明器具であれば、白熱灯より蛍光灯、蛍光灯よりLED(あるいは有機EL照明)のほうがエネルギー変換効率がよいですし、冷蔵庫やエアコンなどは10年前と比べて格段にエネルギー効率が良くなっています。ちなみに我が家では10年以上使っていた冷蔵庫を買い換えたら月々の電気代が2千円以上安くなりました。また、ガスならば燃焼効率のよいガス器具がそうです。家庭などの消費末端で発電しそのときに発生する熱を利用して給湯や暖房に利用するコジェネレーションシステムも総合的なエネルギー利用効率を高める工夫です。ディーゼル発電機で発電すればディーゼル発電コジェネ、ガスタービンで発電すればガス発電コジェネ、燃料電池で発電すれば燃料電池コジェネとなります。大掛かりな設備となるので、電気もお湯もふんだんに使う大型施設での利用が多いのですが、発電効率が悪いとお湯ばかりが多く、必要な電気を得るためにはそれなりの燃料を消費しなくてはならなくなるため、電気やお湯の利用実態を考えて導入すべきでしょう。家庭用燃料電気コジェネならば一般家庭への導入も期待されます。
 そもそもエネルギーの形態を何かしら変換するときは損失が生じるもので、その差分は熱になります。その熱を回収し利用すれば効率は上がります。冷蔵庫は内部を冷やしてその分冷蔵庫の外を暖めているわけなので、庫内からみれば冷却装置でも室内から見れば熱源です。その熱を回収し熱交換でお湯にする水冷式冷蔵庫兼給湯器なんてものがあれば効率は高いということになります。水冷式プラズマテレビ兼給湯器ならなおさら良いかも。もっともお湯ばかりふんだんにあってももてあますことになりますが。冗談はさておき、変換するときに損失が生じるといえば、交流-直流の変換もそうでしょう。日本では家庭に供給されている商業電力は交流100V(50Hz/60Hz)ですが、電気製品の内部では直流で動作しているものが多かったりします。送電損失の少ない直流送電と直流家電があれば、エネルギー利用効率は高まるのではないかと単純に考えるのは素人考えでしょうか。直流送電についてはこのような記事もあります。

最近、筆者の研究室で試作していたサイリスタという半導体デバイスが直流を交流に変換できることがわかった。長い間渇望されてきた技術で、発表したら米・ニューヨークのゼネラル・エレクトリック(GE)社の研究所から「見せて欲しい」という電話が入った。歓迎する、と答えたら翌日にはもう仙台に飛んで来た。いろいろ説明したあと、「何をやるつもりか」と聞くと、「直流送電をやりたい」とのことだった。電線を通してエネルギーを運ぶことを始めたエジソンは直流を使っていたのだが、交流送電を推進したテスラやスタインメッツに敗退したのだ。
 敗退の要因は変圧器だったが、サイリスタ半導体を利用すれば極めて効率の高い直流変圧器を作れる。これで、直流送電の復活が可能になると考えている。送電効率をみると、交流で猪苗代湖から東京までの距離に相当する200キロメートル送れるとしたら、直流送電なら1万キロメートル送れる。電線を40%太くすると2万キロメートル、北極と南極の間の距離になる。つまり全世界どこからどこへでも電気を送れることになるのだ。


もしこれが実現したら世界中をエネルギーネットワークで結ぶことができそうです。送電損失が少なければそれだけエネルギーの消費は少なくてすみますね。

3.自然エネルギーを取り入れた家

 家を建てる際、電力会社やガス会社などのエネルギー企業から買うことなしに得られるエネルギーがあります。それは太陽光と地中熱。日照条件はさまざまでしょうが太陽の恵みは大きなものです。熱として利用するなら、電気などに変換せずにそのまま熱は熱として利用した方が賢明です。太陽熱給湯は優れたシステムです。温水を利用して暖房にも使えますね。
 また、太陽光は直接室内暖房に利用できます。パッシブソーラーという考え方で、軒先の深さを工夫して冬期間だけ太陽光をうまく室内に導入し土間や壁を暖め蓄熱する。あるいは屋根で暖めた空気をファンで床下に送って床下土間に蓄熱するというやりかたです。熱容量の大きな蓄熱体に蓄熱してその輻射(放射)を利用した暖房は、それほど室温を上げずとも快適に過ごせるため、室内の気温をコントロールする冷暖房よりも有利です。その場合、ストーブのようなスポットからの輻射熱ですと十分な体感温度を得るにはそれ相応の熱量が必要になりますが、輻射面が大きな壁暖房のようなものですと、それほど温度を上げずに体感温度を高めることができます。
 地中熱(地熱)も最近注目されているようです。地下5mの温度は年間通して14~18℃だそうで、ということは冬の外気温より暖かく、夏の外気温より涼しいということになります。しかも地面は熱しにくく冷めにくいため、気温の変動と地中温の変動との間には時間差が生じて、地下5mの地中温ではちょうど夏冬が逆転しているくらいなのだそうです。そこに着目して、床下から5mほどボーリングして、室内の空気を地下に送り、熱交換した空気を室内に戻すというわけです。地球という大きな熱バッファーを利用した室温安定装置ですね。竪穴式住居も年間通してチョロチョロと土間で火を燃やすため、地面が蓄熱していて、あんがい寒くないのだそうです。
 冬場の暖房なら太陽から熱を取り込んで貯め込む工夫となるのですが、夏場の冷房はどうしましょう。外気温よりも冷やすというのは暖めるほど簡単ではありません。現在はエアコンが相当に普及していますが、エアコンですと室内の熱を外に汲み出しているので(機械からの熱をおまけにつけて)、外気温を上昇させます。いわゆるヒートアイランド現象の一因ですね。外気温が高くなるとその分また室内から熱を汲み出さなくてはならなくなる。いってみれば、お互いがエネルギーを使って熱を押しつけ合っているようなものです。場合によっては室内が冷えすぎて寒く感じたり、身体を冷やしてしまって体調を崩すこともまれではありません。多くのエネルギーを使ってなんか不条理なことをしているようにも見えます。エアコンの利用を最小限にとどめる、あるいはエアコンを使わない冷房はないものでしょうか。ここは「冷やす」というより「暑さをしのぐ」という考え方のほうがいいかもしれません。冷房というより避暑ですね。
 一つは風通しをよくして体感温度を下げる方法です。室内の風の通り道を考えた設計が必要になります。ただ夜間は防犯上の工夫も必要ですね。
 よしずを掛けたりして太陽光を遮り日陰を作るというのも昔からの工夫です。太陽からの熱輻射を妨げ室温の上昇を抑えるわけです。さらに南側にネットを張り蔓性植物を這わせたグリーンカーテンをしつらえるなんてのもいい考えです。葉からの蒸散で気化熱が奪われ、まわりもいくらか涼しくなります。グリーンカーテンは近年学校などでも導入されることが増えているようで、植物としてはゴーヤーが成長が早くていいようです。
 また、地中熱(熱というと語弊があるかも。地中冷熱とでも言う方がいいか)を利用した熱交換と冷気導入は有効な方法でしょう。冬場にあっては蓄熱装置、夏場にあっては蓄冷装置となるわけです。
 自然エネルギーとしては実はこんなものもあります。それは夜空。つまり夜間に室内の熱を宇宙に放射してやるのです。ちょうど放射冷却と同じ理屈、砂漠の夜は冷えるのと同じです。これは、生活を電化することに疑問を呈し、「非電化」という考え方をすすめていらっしゃる、藤村靖之さんが提案されています(非電化工房 http://www.hidenka.net/jtop.htm)。夜間だけ屋根のルーバーを開いて夜空が見えるようにしてやると、室内の熱が赤外線として放射され、その分室温が下がります。晴れた夜なら効果的。温室効果のある水蒸気(つまり雲)が少ないですから。パイプに水を通して放熱させると、熱容量の大きな水が冷えて翌日の輻射冷房にも使えそうです。
 もうちょっとアクティブな方法で自然エネルギーを取り入れるとなると、家庭用太陽光発電とか、家庭用小型風力発電とか。自宅敷地内に高低差のある水流があるかたなら(どんな家だ!)マイクロ水力発電とかで、自前で電気を作り出すことができます。TOTOではトイレの水流で発電して人体関知や水栓の開閉を制御する電力をまかなう技術を開発しています(http://www.toto.co.jp/docs/auto_eco/index.htm)。
 あるいは屎尿・生ゴミを嫌気性発酵させバイオガス(メタン)を採取するなんてことも中国やインドなどでは普及しているそうです。ただし、屎尿の目安でいうと、牛1頭分の屎尿で4人家族のガス使用量1日分、豚4頭分の屎尿で同1日分、人間15人分の屎尿で同1日分だそうで、結局は消費する食料(バイオマス量)に依存するということでしょうか。メタンを改質して水素を取り出す、あるいはメタンを経由することなしに水素を生成する技術も研究されていますから、家庭のトイレが発電所になることも夢ではありません。

4.商業電力から自立した家

 以前述べましたように、電気(一般電気事業用電力)はエネルギー損失が65%と大きいため、電気の消費量の大小は一次エネルギーの消費量を大きく左右します。大雑把に言えば、消費レベルで4使っても一次エネルギーレベルでは10必要とするわけです。消費レベルで6に増えれば一次エネルギー段階では15に増えるし、消費レベルで2まで減らせれば一次エネルギー段階で5まで減らせる例えです。そう考えるとやはり消費電力量を少なくする省エネ技術や省エネ住宅は大変重要になってまいります。省エネも大事ですが、そもそもそんなに電気製品が必要なのかという点も問い直されるべきだと思います。電気掃除機は必要なのか、ホウキとチリトリで間に合うのではないか、という視点ですね。
 消費電力が十分に少なければ、太陽光や風力といった自家発電だけで電力をまかなうことも十分に可能でしょうし、その場合の設備投資も少なくてすむでしょう。自前で電気がとれれば送電損失の大きな商業電力を必要とすることもありません。商業電力の動向に左右されることもありません。電線から自立したコードレス住宅、ワイヤーフリー住宅となるわけです。
 さて、ここで問題があります。太陽光も風力も、電力を必要とするときに丁度よく電力を供給してくれるわけではないということです。太陽電池パネルが日中せっせと発電しても家には誰もおらず、冷蔵庫しか電気を使わない。夜、帰ってきて電気を使いたいときには太陽電池パネルはお休み。これではせっかくの太陽電池パネルも宝の持ちぐされですね。実際には、日中の発電分は電力会社に売電して夜間の電力は買って使うとか、日中発電した分を蓄電池に充電して利用するとか対応しているわけです。
 そこで、電気を安定して貯蔵することができれば非常に都合がいい。安全でかつ大容量を扱える蓄電池の登場がまたれます。高性能キャパシタはその有力候補です。また電気を利用して水素を生成し、水素という形で貯めておき、必要時には燃料電池で水素から電気を作り出すという方法もあります。水素を貯めておく水素貯蔵媒体の安定性と、キャパシタのオン・デマンドな反応性はそれぞれの特徴を補完するのにちょうどいいのではないかと思います。水素貯蔵媒体がハードディスクで、キャパシタがメモりのような関係に例えることができましょうか。このへんは素人の空想なので、例えとして適切かどうかわかりません。

5.自然素材の家

 木造、石造り、鉄筋コンクリート、家を建てるための建築素材はさまざまあります。家を建てるにあたっての素材選びをどのように考えればいいでしょう。
 鉄、アルミ、セメントは原料から素材を精製するところで大量のエネルギーを消費し、二酸化炭素を排出します。精製後の製品をリサイクルする場合はそれより投入エネルギーや排出二酸化炭素も少なくはなりますが、鉄鉱石・ボーキサイトといった有限資源を大事に利用してゆく上でも使用量は少ないに超したことはありません。
 かたや、木材は再生可能資源であり、その成長過程で二酸化炭素を吸収するため、相対的に二酸化炭素を増やさないカーボンニュートラルな資源です。
 ここで注意が必要です。植物は二酸化炭素を同化して有機体を合成してはいますが、同時に呼吸をして二酸化炭素を排出もしています。成長過程においては、植物の二酸化炭素吸収量が二酸化炭素排出量を上回るため、全体としては二酸化炭素を吸収していると言えるわけです。つまり、植物が二酸化炭素をよく吸収しているといえるのはその成長過程でのことであります。ぐんぐん伸びている植物ほどよく二酸化炭素を吸収しているといえます。植物は朽ち果て分解される時、あるいは燃やされる時に、これまで固定していた二酸化炭素を放出します。つまり、二酸化炭素は植物に吸収されるが、いずれまたそれは排出されるものであり、一個体の一生においては、植物は二酸化炭素を増やしも減らしもしないことになります。
 植物による二酸化炭素吸収が二酸化炭素排出上回る状況とは、成長過程にある植物が多い状態(若い森)。植物圏が拡大している状態(植林、砂漠の緑化、都市緑化など)。木質として社会に蓄積されてゆく状態(木材のカスケード利用が行き渡り、木材のライフサイクルが長くなる)が考えられます。特に植物圏の拡大(炭素固定の水平的拡大)と、社会の中での木材木質の蓄積(炭素固定の垂直的蓄積)は重要であると考えます。
 伊勢神宮には式年遷宮という習わしがあって、二十年に一度御社を建て替えます。解体された木材はまた鳥居など別の建築物を建てる際に利用され、また別の…という具合に、木材は徹底的に再利用されます。二十年に一度建て替えることで技術の伝承もなされ、循環してゆくことになる。石造建築文明においては不変ということが永遠性を表すのに対し、伊勢神宮の式年遷宮では循環ということが永遠性を表す、そんなふうにも思えて大変興味深いものです。
 話しを戻しましょう。つまり何が言いたいかというと、木材を簡単に灰にしてはいかんということです。古民家を再生する、古材を使うなどして木材は大事に末永く使いましょう。さらに、林業の振興のためにも、計画的に植林され適切に管理された人工林由来の新材も使いたいですね。
 先にも述べましたストローベイルハウスは、大量の藁を使いますので、炭素(セルロース)の蓄積という点からも意味があります。

 というわけで、もしも私が家を建てるなら…
適度にこじんまりとしたサイズでシンプルな間取り。古材新材併せた木造住宅。壁は断熱性の高いストローベイル、特に内側は蓄熱性の高い土壁。夏の日中は太陽光を遮り風通しをよく、夏の夜には天窓から熱を放出。、冬には家の中まで陽光を取り入れるパッシブソーラー。地中熱を利用した室温バッファー。電力消費は少なく、商業電力には依存しない、給湯機能発電機能付き住宅を建てるでしょう。

 では集合住宅ならどうか。世帯密度が高いことはエネルギー効率の点からそれなりの利点があります。しかし高層アパートとなると高低差ゆえの熱管理上の工夫や通風の工夫も必要でしょう。エレベーターなど、電気設備も必要になりますし、1世帯当たりの屋根面積が小さくなるため、太陽電池パネルを上げても1世帯当たりの恩恵が少なくなります。集合住宅を作るなら、ほどよいサイズのランニングコストのきわめて小さい、発電機能付きエコアパートなんてどうでしょう。このコンセプトに共感して入居してくれる利用者もいるんじゃないでしょうか。

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