2009年4月19日日曜日

バイオディーゼル燃料を学ぶ 1 (2007/06/12)

 私、バイオディーゼル燃料に関心を持ちまして、現在勉強中です。このコラムでは、私がバイオディーゼルについて勉強してゆく過程を報告いたいと思います。こちらにいらっしゃる皆様にとってはすでにご存じのことも多いことでしょうが、そこはなにとぞご勘弁下さい。

 バイオディーゼルの話の前に、バイオマスについてひととおり復習しておきましょう。近年、バイオマスに対する注目は高まっており、新聞等のメディアに載る機械も多くなっております。NEDO(独立行政法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構,The New Energy and Industrial Technology Development Organization )の新エネルギー技術開発分野の項目にも、太陽光、風力とならんでバイオマスがあげられています。

 バイオマス

 資源・エネルギーの分野でバイオマス(Biomass)と言う際には、生物由来の資源を総称して「バイオマス」と言います。石油石炭も元をたどれば生物由来ですが、バイオマスと言う際には化石燃料は除きます。資源としてのバイオマスは、薪、木炭など「エネルギー資源としてのバイオマス」と、木材、パルプなど「資材資源としてのバイオマス」に大別されます。

 バイオマス資源の特徴としましては、一つにカーボンニュートラル、もう一つに再生可能という点があげられます。カーボンニュートラルとはご存じのように、それを燃焼させ二酸化炭素を発生しても、その成長過程で二酸化炭素を吸収するので、全体的に見れば差し引きゼロ、燃焼させても二酸化炭素を増やさない、という意味で使われます。とはいえ、これは消費されるバイオマスと成長する植物が均衡している場合に当てはまることであって、バイオマス資源を消費する一方で、耕作地や草原、森林、密林が荒れてしまい植物圏が減少してしまったのではカーボンニュートラルとは名ばかりになってしまいます。木材、パルプを消費するため森林を伐採し、そのまま放置するとか、バイオマス燃料を輸入したが、実はジャングルを切り開いて作ったものだったなどということになっては笑い話にもなりません。

  ですから、カーボンニュートラル、再生可能というバイオマス資源の特徴を生かすためには、その一方で植林、緑化などによる植物圏の維持拡大が必須要件となります。自然にまかせておけば人間が消費する以上のスピードで植物圏が再生してくれるわけではないのですから。

 バイオマスエネルギー

 バイオマスからエネルギーを取り出せば、バイオマスエネルギーとなります。この場合も、かつては生物だったからといって化石燃料は含みません。

  薪、木炭は昔から使われてきたバイオマスエネルギーです。暖房、調理、産業など幅広く使われてきました。おがくずを圧縮して粒状にした木質ペレットもあります。

  薪や木炭がそのまま現代の産業構造に利用できるのなら話しは簡単なのですが、あいにく現代の産業構造は化石燃料を消費することを前提に発展してきましたので、薪や木炭をそのまま使えるクルマもパソコンもありません(かつては木炭トラックなどありましたが)。薪、木炭、木質ペレットを使ったストーブ、ボイラー、コンロ、七輪などは今も(これからも)現役ですが、それ以外の用途に使用するとなると、現代の産業構造に適した形態の二次エネルギーに転換しなくてはなりません。つまり、バイオマスから石油製品(ガソリン、軽油等)様の揮発性液体燃料、ガス、電気という形に作り変えなくてはならないということになります。

  そこで、バイオマスを液化、ガス化してエネルギーを取り出したり、発電して電気を取り出したりする技術開発が進められています。糖質植物、でんぷん質植物などのバイオマスを発酵させてエタノールを精製すればバイオエタノールですし、油脂植物などのバイオマスから植物油を精製し、軽油の代替として使えるディーゼル燃料を精製すればバイオディーゼルということになります。

  バイオエタノールといえば、ガソリンに混入することで石油消費量を節約する。そしてガソリン消費を部分的にカーボンニュートラルなバイオエタノールに置き換えることで二酸化炭素排出量を抑えるというイメージが先行しがちですが、エタノールから直接水素イオンを取り出せばエタノール燃料電池ということになります。家畜糞尿や廃木質などのバイオマスをメタン発酵させればバイオメタンガスです。もちろん燃料として使うこともできますが、これもメタンから水素イオンを取り出せばメタン燃料電池です。

 ここで問題になるのが、二次エネルギーに転換する前の、一次エネルギーとしてのバイオマスを、いったい何に求めるかという点です。アメリカのバイオエタノール宣言以降、穀物価格が高騰したことは記憶に新しいところですが、エネルギーを求めるために食料と競合するようでは、金持ちが車を走らすために貧乏人から食料を巻き上げると揶揄されることになりかねません。エネルギーと食料が競合しないような方策が求められます。

 エネルギーと食料が競合しないようにするための方法としてどのようなことが考えられるか。一つには、耕作地自体を増やすという方向があります。ここで注意しなくてはならないのは、耕作地を増やすために森林や密林を失ったのではあべこべだということです。ですから、現在残っている植物圏を台無しにすることなく耕作地を増やすことが求められます。日本で言えば休耕地の利用ですね。世界的にみれば砂漠緑化がそうでしょう。

  また、単位面積あたりの収穫量を増やすという方法もあります。日本では美味しいお米が求められ、その付加価値から食味重視の栽培を指向する方向にありますが、食味よりも収量の多い品種を別途に栽培するということで収穫量を確保するという方向です。ただ、それが採算のとれるものになるのかという点は課題です。また、単位面積あたりの耕作地から収量を搾り取ることが土地に及ぼす影響というのも考慮しなくてはなりません。

  食料として利用したバイオマスを次にエネルギーとして利用するといった、二段構え三段構えの利用法もあります。これをカスケード利用というのだそうです。廃食用油からバイオディーゼル燃料を作るというのはこれにあたります。穀物を畜産飼料として利用し、その家畜の糞尿からエネルギーを取り出すのもこれに当てはまりましょうか。

  またあるいは、食料や資材として利用されていない未利用バイオマスからエネルギーをとる方法も考えられます。具体的には、間伐材、おがくず、稲藁、籾殻などのセルロースからエネルギーをとる方法です。

  まったく食料と競合しないバイオマスというのもあります。海上プラントを作って海草であるホンダワラを養殖し、そこからバイオエタノールを精製するというプランがありますが、これだと、用途としてはもちろん、耕作地、地表水という点からも食料と競合しません。しかも、富栄養化した水質の浄化にもつながり、また魚の魚礁としても期待できるという利点もあります。

 なぜ、バイオディーゼルに関心を持つのか

 以上、バイオマスについてざっとあらましを見てみました。なぜ私がバイオディーゼル燃料に注目するかといいますと以下の点からです。

  定置型エネルギーとしては電力や熱に転化できる様々な石油代替エネルギーがあります。石炭、天然ガス、原子力、太陽光、風力、水力、もちろんバイオマスも利用できます。しかし移動体用エネルギーとして使えるものはとなりますと、バイエタノールやバイオディーゼルくらいしかない。LPガスや、圧縮天然ガス(CNG)はすでにタクシーなどで普及していますが、全体から見れば一部であり、多くの運送用旅客用の車両はガソリンか軽油で動いています。つまり、現時点で移動体用動力源はほとんど石油に依存しているといっていい状態なのであります。

  今後燃料電池の普及が期待されますが(「連山」の中に度々登場する”ハイパーハイドライド”とはそのキーテクノロジーなのでしょう)、おそらく定置型エネルギーから普及し、燃料電池車が発売され普及するのはそれに続くことになるのではないでしょうか。当初は相応に高価なものでしょうから、広く普及するには時間がかかるものと思われます。

  一方では、石油生産がピークを過ぎたとも言われおり、石油の供給は次第に、いや加速度的に厳しさを増し、価格は高騰することでしょう。ガソリンや軽油の入手が困難になる速度と燃料電池媒体や燃料電池車両の普及が進む速度とがうまくクロスしてくれるといいのですが、その端境期においては大きな混乱が懸念されます。輸送コストが増大すればすべての物価は上昇するでしょうし、消防、救急、ゴミ収集などの公共サービスにかかるコストも増大します。

  しかし私が最も憂慮するのは食料生産です。トラクターが軽油で動いていることを指摘するまでもなく、現代の農業は石油に依存しています。ただでさえ食糧自給率の低い日本にあって、エネルギー供給の問題は同時に食糧生産の問題に直結しているのです。農機具を動かしている燃料が軽油であることを考えた時、食料生産に必要な代替エネルギーは、現状ではバイオディーゼルしかないといっても過言ではありません。水素トラクターや燃料電池耕耘機が普及するのは一番あとのほうでしょうし、体力のある大手企業が燃料の囲い込みをすれば、あおりをくうのは個人経営の農家です。

  そのように考えた時、食料生産を少しでも支えるため、バイオディーゼルの生産および流通体制の構築は、食料防衛戦略上早急に対処すべき課題だと考えます。私がバイオディーゼルに関心を持つ理由はここにあります。それにもう一点、バイオディーゼルは小規模プラントから稼働可能ですので、地域で取り組める、自分たちでできる事業であるということも理由の一つです。

  そのような観点から私はバイオディーゼルについて勉強してまいりたいと思っております。我が国でも以前からバイオディーゼルに注目し、地道に活動してこられた方々がいます。私がバイオディーゼルについて勉強するにあたって間違いや誤解があるかもしれません。その節はご指摘ご教示いただければ幸いです。

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