2009年3月23日月曜日

自動車業界の未来

この不況で自動車業界は大変です。自動車産業は裾野がえらく広いので幅広い範囲に影響を与えます。

 ドイツの自動車大手ダイムラーのツェッチェ社長は17日の決算記者会見で、高級車「メルセデス・ベンツ」の2008年販売台数は前年比5%減少したものの、超小型車スマートは同35%増と好調だったことを明らかにした。
 独自動車大手ダイムラーは22日、アラブ首長国連邦(UAE)の政府系投資会社「アーバル・インベストメンツ」から19億5千万ユーロ(約2500億円)の出資を受け入れると発表した。
 アーバル・インベストメンツの出資比率は9.1%となり、ダイムラーの筆頭株主になる。両社は温暖化防止対策として需要増が期待される電気自動車の開発で協力するほか、若者を対象とした研修センターをUAEに設立する方針という。

 ダイムラーは主力の高級車「メルセデス」が苦戦しており、とても厳しいようです。メルセデスの作る車は実に見事なものですが、ものの質が全てを決めるわけではありません。腕のいい職人も時代に押されて店をたたむということはどこにもありました。IBMが売られるというようなインパクトに等しい出来事も起こりうるかもしれません。そうなればダイムラーの株主はうまいことアラブに売りつけたといえるでしょう。

一方、同じダイムラーの「スマート」が好調なように、小型車、経済車、低燃費車へのシフトは続きそうです。小さくて車重が軽い方が燃費はいいし税制上も有利ですからね。そんな中、1979年、車両本体価格47万円という破格のお値段で登場し一世を風靡した経済車スズキ「アルト」みたいなことが世界を舞台に起こりそうです。インド・タタモータースの「ナノ」、日本円にして約18万円です。しかしこれもなかなかとたいへんそう。

 タタ・モーターズは2008年1月、自動車ショーで4人乗りの小型車「ナノ」を発表。1台10万ルピー(約18万円)での販売を予定しているとし、インド発の「超低価格車」誕生として世界中の話題をさらった。さらにその数週間後、今度は米フォード・モーター(F.N: 株価, 企業情報, レポート)から高級車ブランド「ジャガー」と「ランドローバー」を総額23億ドルで買収すると発表し、再び関係者の注目を集めた。

 しかし、当初計画から約半年遅れて、近く市販される予定の「ナノ」にとって、足元の景気後退と生産面での制約が成功への足かせとなる可能性がある。

 「ナノ」が初めて公開されて以降、同社にとっては逆風が続いている。生産を予定していた工場は地主とのトラブルで建設地変更が余儀なくされ、売り上げ不振で約7年ぶりの赤字を計上し、株価は約75%下落した。また同社の信用格付けは、借り入れに依存した拡大戦略が金融危機の影響を受けやすいとして引き下げられた。

 2月のインドの自動車販売台数は、金利低下などを背景に過去4カ月で最高水準を記録したが、消費者心理は依然冷え込んだままだ。

 アナリストらは、タタが近い将来に値上げを行うと予想するが、利益率の低さや生産面での制約、冷え込んだ市場心理を理由に、「ナノ」プロジェクトが損益分岐点に到達するのは5─6年先だと指摘している。

インドが超低価格による経済性路線なら、中国は低価格電気自動車で経済性を謳い今後のイニシアティヴを狙うようです。

 持続可能なモビリティーに向けた次世代自動車として、燃料電池車とともに世界の自動車会社による各種電気自動車の開発競争が激しくなってきた。いわゆる電気自動車(EV)、ハイブリッド車(HV)、そしてプラグインハイブリッド車(PHEV)である。

 いずれの車種もバッテリーとしてリチウムイオン電池を搭載する。したがって、このリチウムイオン電池の開発が次世代自動車のカギを握っているわけだ。そのため、自動車会社各社は電池の開発をめぐり関連企業との戦略的パートナー関係を構築するなど、その動きは世界中で活発化してきている。

 2005年における世界のリチウムメタルの生産量は2万1400トンであった。そのうち主要生産国はチリが8000トン、オーストラリア4000トン、中国2700トン、ロシア2200トンそしてアルゼンチンが2000トンである。リチウムメタルの埋蔵量は、世界トータルで1340万トンのうち、未開発のボリビアが540万トン、生産量で最大のチリが300万トン、アルゼンチン200万トン、ブラジル91万トンで、南米4カ国で、実に84%の1131万トンを占める。

 中国は110万トンで、残りは数10万トン規模である。燃料電池車に必要な白金が南アフリカ共和国に、そして石油が中東に偏在していると同じようにリチウムも南米に極端に偏在し、地政学的な不安定性を抱えているのである。埋蔵量の1340万トンについては、米地質調査所(USGS)によると1100万トンと、より低く評価されている。
自国領内に石油資源の偏在があったアメリカは石油内燃機関文明でイニシアティヴを握りましたが、国内油田が無限であるはずもなく、世界中の石油生産と流通を傘下に置くべく膨張しました。バッテリーカーを中心に据えようと思えば電池です。それがリチウムイオン電池ならリチウム覇権が必要になり、中国は世界中のリチウム鉱山を抑えようと手を伸ばさねばならないでしょう。リチウム自体は温泉の成分表にも入っているように日本にも湧いて出ますが、密度が違うので効率的に利用するには密度の高いほうがいいですね。ところでリチウムは石油と違って燃えて二酸化炭素になるわけではありません。日本は鉄鉱石を輸入していますが、スクラップという形で国内の鉄は増えています。これと同様にリチウムも回収再生という方法が考えられるでしょう。

さて日本はというとすでにハイブリッドで実績を上げています。最近ではホンダが「インサイト」を200万円を切った価格で投入し販売が好調なようです。トヨタも3代目「プリウス」の投入前に現行型を値引きしました。日本はハイテク高級型の経済路線のようです。これに乗っかって政府も後押しするみたいです。

【ニューヨーク=山川一基】トヨタ自動車の米販売子会社は11日、米国でのハイブリッド車の販売台数が100万台を突破したと発表した。日本から3年おくれて00年に発売した「プリウス」はこれまで70万台超売れたほか、「レクサス」シリーズのハイブリッドセダンなども投入し、9年で達成した。トヨタが世界中で売ったハイブリッド車170万台超の過半が米国で売れたことになる。
 平成21年度からスタート予定の「エコカー減税」に対し、自動車業界の期待が高まっている。
 ハイブリッド車(HV)や電気自動車などの環境に優しい「次世代車」の自動車取得税と自動車重量税を減免するというもので、現在販売されているHVなら10万円強の値引きになる見込みだ。
 減税額は「通常の販売では困難な値引き額」(大手メーカー幹部)とされ、業界では自動車需要の記録的な落ち込みを救う起爆剤となるのではないかとみている。
 新しい自動車税制は、減税幅が自動車の環境性能レベルによって100%、75%、50%の3段階に分かれている。販売されているHVのほか、電気自動車や燃料電池車などは取得税と重量税がともに100%免除される仕組みだ。

プラグインハイブリッドなら、電力が不足する時間帯に駐車中の車で発電して電力を供給し、電力が余剰になる時間帯にはバッテリーに蓄電しておくということも見えてきます。電力利用の平準化で効率を電力利用効率を高めることもできるでしょう。もはや車は経済性ぬきには売れず、低価格=インド、中間価格=中国、高級=日本という棲み分けになるのではないでしょうか。経済性と省エネルギーをキーワードに自動車業界は廻りそうです。もはやアメリカ車はもちろん欧州車も厳しいかもしれません。それはアブダビに買われたダイムラー同様、資本の面からも。では最も経済的なのは何か。それは車を使わないことです。車を使う必要性を最小限に抑えた社会がもっとも有利なのです。無駄な移動や無駄な物流を必用としないためには、事前の打ち合わせが重要になってきます。段取りを付けてから必要最小限の使用にとどめる。そのためには情報化されていることが必用になります。情報化が移動物流を変え、自動車産業を変えるでしょう。自動車業界もたくさん売るというモデルは過去のものとなるでしょう。

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