2009年3月18日水曜日

大学の自壊

  大学の道は、明徳を明らかにするに在り、
  民に親しむに在り。至善に止まるに在り。

  古の明徳を天下に明らかにせんと欲する者は、先ず其の家を斉う。
  其の家を斉えんと欲する者は、先ず其の身を修む。
  其の身を修めんと欲する者は、先ず其の心を正しうす。
  其の心を正しうせんと欲する者は、先ず其の意を誠にす。
  其の意を誠にせんと欲する者は、先ず其の知を致す。
  知を致すは物を格すに在り。


大学(だいがく)とは儒教の経書の一つ。南宋以降、『中庸』『論語』『孟子』と合わせて四書とされた。もともとは『礼記』の一篇であり、曾子に作られたとも秦漢の儒家によって作られたとも言われる。
朱子学において自己修養から始めて多くの人を救済する政治へと段階的に発展していく儒者にとっての基本綱領が示されているとして重要視された。その内容には「明明徳」「親民」「止於至善」の三綱領と「格物」「致知」「誠意」「正心」「修身」「斉家」「治国」「平天下」の八条目が提示されている。

大学寮(だいがくりょう)は、律令制のもとで作られた式部省(現在の人事院に相当する)直轄下の官僚育成機関である。官僚の候補生である学生に対する教育と試験及び儒教における重要儀式である釋奠を行った。

3月は卒業の季節です。今年も沢山の学徒が学を修め社会に踏み出してゆきます。
しかし大学の状況は芳しいものではないようです。昨年の入学者数が定員割れした私立大学は半数に迫るほどで、私立短大に至っては7割に近いものだったといいます。

今春の入学者数が定員を下回る「定員割れ」となった私立4年制大学が全体の47・1%の266校に達したことが30日、日本私立学校振興・共済事業団の調査で分かった。前年度より44校(7・4ポイント)増え、過去最悪の数字を大幅に更新した。定員の半分を下回る危機的な学校は12校増の29校に上っており、地方の小規模大学を中心に、経営難が深刻化している状況が浮き彫りになった。

首都圏の大規模大学が『地方会場入試』や『全学統一入試』などの入試改革で受験生の囲い込みを始めている影響で、「地方より大都市部」「小規模大学より大規模大学」という人気の二極化傾向に拍車がかかっている。

私立短大の状況はさらに深刻だ。学校数は5校減少し、入学定員数は8万2972人で5・5%減。受け皿は縮小しているものの、志願者数は11万5353人と12・4%(1万6337人)も落ち込み、定員割れしている学校の割合は5・3ポイント増の67・5%(243校)に達した。


少子化の影響や都市偏重、有名大学偏重の流れが関係しているのでしょうが、相対的に若者の数に比して大学が多いのでしょう。しかし既にある大学を簡単に整理することはできません。入学者が少なければ入学費や授業料が徴収できませんから大学の運営が厳しくなります。学校を維持するのに資金が不足する自体となります。そこで何とか学生を確保するために特色を出そうとしたり、留学生助成制度だとか、なんとか資金を確保を工面します。資産運用を金融取引でまかなおうとする動きもそうした背景あってのことでしょう。


 世界的な金融危機は、国内の私立大にも大きな影響を及ぼしている。駒沢大学は、デリバティブ(金融派生商品)取引で約154億円の損失を出したことで、キャンパスの土地建物を担保に融資を受ける事態に陥っている。金融取引による資産運用をしている大学も少なくなく、その多くで含み損が発生しているとみられる。(福田哲士)
 少子化や「大学全入時代」の到来で経営が厳しくなっていることに加え、低金利が続いたことが、各大学で金融取引での資産運用に拍車をかけていた。日本私立学校振興・共済事業団によると、全国の大学・短大約650校のうち、少なくとも75校がデリバティブ取引を行っているという。

 含み損を発生させている大学は少なくない。立正大では、今月9月末時点で約148億円の含み損が判明。札幌大でも20億円が含み損となっているとみられる。しかし、多くの大学は、長期保有を目的とした仕組み債で資産運用していることから、駒沢大のように、現時点で評価損を計上してはいない。

 私学の雄、慶応大の運用資産は平成20年3月期決算で約225億円の評価損を計上している。同大では「現時点での評価損は変わっていない」としている。
 もう一方の私学の雄、早稲田大も3月期決算では約5億円の評価損だった。同大は「デリバティブは購入していない。今、保有している有価証券を売却すれば損失が出るかもしれないが、長期保有が目的なので損失は計上していない」と説明する。


 全国の私大・短大を運営する学校法人のうち、駒沢大学などの多額損失で問題になったデリバティブ取引を、12.8%にあたる69法人が行っていたことが分かった。日本私立学校振興・共済事業団が17日、各法人へのアンケート結果を発表した。

 資産運用で多額の損失を出す私大が出ていることから、同事業団が1月に実施。8割にあたる538法人から回答を得た。デリバティブ取引を行っていた69法人のうち39法人は、取引の目的は「(資産運用での)リスクを回避するため」としたが、31法人は、投機目的と見られる「それ以外」と回答した(複数回答)。

 また、デリバティブと債券を組み合わせた「仕組み債」のうち元本保証のない商品を保有していたのは、21.2%にあたる114法人だった。

 株式などを含む資産運用全体の教育・研究活動への影響として、現に11法人が「大きな支障が生じるおそれがある」、2法人が「支障が生じている」と答えた。人件費の削減にまで触れているところもあるという。

では、勉強する学生のほうはどうでしょう。昨年から大麻などの違法薬物汚染が度々報道されています。学生にも、先行きの見えない現代の不透明感、閉塞感が感じているのだろうと思われます。


 昨年、大麻草を栽培したなどとして学生が逮捕された早稲田大(東京)が行った学生の意識調査で、大麻などの違法薬物について、36%が「なんとか手に入る」、17%が「簡単に手に入る」、半数以上が入手可能と回答していたことが17日、分かった。
 周囲に違法薬物を所持、もしくは使用した人がいると答えた学生も10%おり、6%が違法薬物を勧められたことがあると答えた。
 早稲田大は「薬物に想像以上に接近しやすいことを学生も認識している」と危機感を強め、学内誌や講習会などで防止対策を取るとしている。
 調査は昨年12月~今年1月に全学生を対象に実施。約4700人が回答した。違法薬物について、ほとんどの学生が危険性は認識していたが、入手しようとした場合、どの程度難しいかを聞いたところ、「不可能」が27%に対し、「手に入る」は半数を超えた。

これはなにも早稲田大学だけに限ったことではないでしょうね。薬物は学内にすでに浸透しているといえましょう。一流大学・有名大学の学生はそのまま社会の中枢に進みます。官庁だったり一流の企業だったりメディアだったり。薬物と薬物を介した影響力はそれら学生とともに社会の中枢に浸透していきます。また、学生が政治家・官僚・企業幹部の子女だったりすれば、そのままスキャンダルのネタになりますから、また別な影響力が働くでしょう。

古代オリエントでは教育は「自由広場」でなされたそうです。この「自由広場」の「自由」とは、市場の欲望や喧噪、猥雑さからの自由、つまり世俗から自由であるという意味だそうです。
社会にとって第一級の人材を供給する大学ですが、様々な面で行き詰まりを見せているように思われます。

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